温泉津温泉の岩窟龍

日本海に面した温泉津、1300年ほど昔、大狸が傷を癒やすためにこの地で湯浴みをしていたのが起源とも言われている。旅館のイメージキャラも狸さんである。


f:id:zhongjpn:20180809085537j:image

 

ここは二度目の宿泊、前回同様 唯一露天風呂の有る温泉旅館に1泊。その露天風呂からは隣のお寺の大屋根が見える。

https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/1417/1417.html

路地を挟んで元湯である薬師湯がある。地元の人は幸せやなあ、と思った。皆さん洗面器を抱えてやってくる。創建当時の建屋がそのまま残っていて、2階はしゃれた休憩所、3階は展望テラスで無料のコーヒーのサービスまであった。


f:id:zhongjpn:20180809090617j:image

残念ながらその日は雨だったのでテラスには出ることが出来なかった。外でビールを飲んだら美味しいやろうなあ、と思った。ここの湯温は46度で熱め。元湯はもう一つある。いずれも源泉の掛け流しらしい。

以上 2018年8月9日(木)追記

2018 5月13日 龍御前神社
山勢自ら巨龍の蟠(わだかま)るに似たる磐窟(ばんくつ)。
その腮(えら)に当たる所に建立しあるのは旧の御本殿。
神社境内の案内板にはそう記されている。
龍の喉元、逆鱗の辺りに社の後ろ半分がめり込んでいる。
それは、温泉津温泉、龍御前(たつのごぜん)神社の裏山の中腹に建立されている奥社である。
温泉街の入り口に位置するこの神社、冬場はともかく今は5月である。
樹木が生い茂っていて下からはそのお社は見えず、角度に寄り巨石が見える程度。
旅館の方には、階段があるのでそこを登って行かれると良いですよ、と言われたのだが、でも実際にはなかなか見つからず、というかイメージの階段では無かった、立派な石段かと思っていた。人に聞こうと思っても地の人は居ず、、と言う訳で仕方なく神社の端を再調査して、非常に荒れた狭い急峻な石段を見つけたのである。それは社殿の右奥と山肌にへばりつくように上に向かっている。手摺が有ったので心強い。昨日の大雨で足元は悪い、落ち葉が足元を覆って滑りやすく、虫がうるさい。10メートルほど登ると左に折れるところで急に階段がなくなり獣道のようになった。やばい感じである。蛇が出てこないかと、不安が脳裏をよぎる。立ち止まってこのまま引き返した方が良いかな、等考えて実際数歩踵を返して降りたのであるが。ここは勇気。そう勇気である。少しの勇気の無さが後で後悔の基になる、と思い直して足場に気をつけながら再び登り始めた。
随分と長い時間が過ぎたように感じた。樹木の間の山道、手摺はあるが警戒しているので触れない。手袋が有ればよかったのに、と思ったり。
急に前方が開けた。お堂が見え、左下に温泉津の街並みが生い茂る樹木の隙間から見えた。
実はここに来た目的は、温泉津の波止を小さなスケッチブックに収める事であった。旅行案内には港を見下ろす高台にこの社はある、と記されていたので。僕は兎に角、どこでも港のスケッチが好きだった。
ところが、である。港は見えなかった。樹木が繁茂しすぎている。僅かに入り江の一部が見えている丈。がっかりである。さて、どうしたものか、と思いふと天を仰いだ時に、まさにその時 ウワッと思わず声を出した。
巨龍、巨大な龍が口を開けて自分に覆いかぶさっているのである。そしてその御本殿の後ろ半分はまさに龍の腮、その磐窟に食い込んでいた。



f:id:zhongjpn:20180809092753j:image

結果的にわが小さな勇気がこのような大きな感動を与えてくれた、と我ながら称賛した。
30分程小さな境内に居て、立ったままの姿勢で小さなスケッチを描き上げた。
白の丸い石のテーブルと椅子がおかれているが残念ながら大雨の後で濡れていて座れなかった。
下りは達成感もあってアッという間に下山できた。
下の境内で龍御前神社の案内をみる。歴史は300年ほどさかのぼる。ご神体は八陵の御神鏡、温泉津の海上安全、漁業、温泉医療の守護神と記されていた。
昔、石見銀山の銀の積出港として、波止も温泉も栄華を極めた時代が有ったのであろう。
小さな温泉街にしては、大きな寺院が狭い道路の両側に沢山ある。
まだまだ見るべきところが沢山ありそうである。